今回は去年の夏に福岡天神にオープンした九州初のInfoshop 、「反転地」のオーナーをしている佐野陽子さんを講師に、「これからの生活夜話」というタイトルで、食と環境問題、そして生活の中の余りものからお茶を作るワークショップを開きました。
そもそもは、反転地に遊びに行った時に、佐野さんが野草料理を学んでいるという話を聞いたところから、野草料理について話を聞ける機会があればいいな、と思ったのが始まりでした。ただ、野草についてはまだ学んでいる途中であること、また冬であまり野草が見つからないこともあり、佐野さんのもう一つのテーマである、食生活と環境問題について話してもらい、また余った野菜や果物の皮でお茶を作る方法、残ったご飯から甘酒を作る方法を実演してもらうことにしました。
当日は約15名程の方が参加してくれて、夜8時から始まりました。
■内側からのようす
ちょうどその週には、テトラの運営をしている 小山冴子さんの企画「小山が居ります」が開催されていて、テトラの壁には小山さんのセレクションした作家のペインティング、ドローイング、彫刻、そして詩人でデザイナーの尾中俊介氏のこれまでのポスターワークが飾られて、色彩豊かな暖かい空間が生まれていました。
■外からのレクチャー風景
まず、佐野さんは現代の食生活と大きく変化させた「砂糖」について、その問題点を話てくれました。砂糖の中でも、私たちが普段よく見る白砂糖が食の歴史に登場したのは200年と浅く、日本では戦後になって生産、流通が開始されたそうです。
■ 砂糖について話す佐野さん
この白砂糖は、サトウキビから精製される過程で元々含まれていたミネラルが抜け落ちてしまい、接収すると消化吸収のために体内のカルシウムやビタミン類と結びつき体外に流れてしまう作用を引きおこし、白血球の減少、免疫力の低下等、様々な病気との関連が指摘されているとのこと。また、この10年で普及した人工甘味料、アスパルテームの妊娠中の女性の接種の危険性、ブドウ糖の流通と子供の糖尿病の増加の因果関係等々、砂糖を巡る様々な話は、人体の内部でもう一つの化学実験が行われているのでは?と疑いたくなるような話でした。(*ただ、今回の話では、それぞれの因果関係を裏付ける資料までは言及されていなかったので、科学的な裏付けを示した資料も必要だと思いました。例えばアスパルテームに関しては、有機化学者のこのような反論もネットで見る事ができます。有機物博物館 : http://www.org-chem.org/yuuki/aspartame/aspartame.html )
今回のワークショップのもう一つの目的は、佐野さんが準備してくれた野菜の葉っぱや果物の皮で作ったお茶っ葉を、ブレンドして自分のティーバッグを作ることでした。
佐野さんが用意してくれた、天日干しで乾かした無農薬の人参の葉、無農薬タマネギの皮、乾燥させたノンワックスのミカンの皮に、ゆきのした、すぎなといった野草まで、身近に手に入る余り物を調合してお茶を作りました。
■それぞれのお茶っ葉を選んでティーバックにつめる
■作ったお茶と一緒に■ティーバックを透かして、お茶っ葉の緑色やミカンや
リンゴの皮の色が混じり合って見ているだけでも楽しい
今までは、余り物、いらない物だと思っていた野菜の葉や果物の皮が、簡単な工夫(干して乾かす)だけで、豊かな味と香りを備えたお茶になるという事実に新鮮な驚きを与えてくれました。それぞれの素材とその量をどのように組み合わせるかによって、全く異なる香りと味が出来上がります。個人的には、ミカンの皮、人参の葉の組み合わせのさっぱりとした甘みが好きでした。また、最後には、白米と麹で作った自家製の甘酒ペーストと木綿豆腐を、フードプロセッサーに入れてヨーグルト状にしたものをリンゴにあえたものがデザートが振る舞われました。
■甘酒と豆腐を使ったデザートを作る佐野さん
佐野さんの話では、甘酒は、砂糖が普及する以前に重宝されてきたポピュラーな甘味の一つで夏向きの飲み物だったそうです。炊いて残ってしまったお米と甘酒用の麹で作られた甘酒ペーストは、砂糖を使わない甘味としてひとつの選択肢だと思います。甘酒と豆腐のヨーグルト風の味は、大豆の風味も残しつつもくどくない、じんわりと広がるかすかな甘さを感じました。
今回のワークショップは、佐野さんの話を通じて現代の食の問題点を知った上で、どのような食生活がこれから可能なのか、という実践的な問いを、実際のお茶作りやデザート作りで、誰にでも実践できる知識として提示してもらう試みでもありました。また、 お茶を皆で作って飲むという行為が、人が集まって話を始める為のメディアとして働くことに気がついたことも新たな発見でした。佐野さんの出すお茶やデザートの中に、問題に対する一つの回答が込められていること、お茶を飲む、デザートを食べるという行為を通して、伝わる知識というものがあるということ、理論と実践、抽象と具体、講義と生活の知恵の両輪を回しつつ問いを具体性へと展開していく試みが大切になってくると思います。
この方法は、今まで議論の展開のみに終始しがちだった、知の共有の方法を、感覚の共有というレベルに引き上げる可能性があるのでは、と考えているので、春には野草を取りに行くワークショップもしたいな、と考えています。
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