2010/10/12

The protest campaign against the Stuttgart21 in Germany

9月30日に、ドイツ南西部の都市Stuttgart(シュトゥットガルト)で、市の中央駅再開発計画に伴う隣接する公園の樹木の伐採に反対し、座り込みをしていた市民に対して、州政府が警察を動員し暴力的な排除を命じた。この事件で、約130人の市民が負傷し、多数が逮捕された。
Infoshop News http://news.infoshop.org/より抜粋
Today marked the time when some of the first trees came down behind police baracades in Stuttgartt's historic palace garden to make way for a rail tunnel. Thousands have been protesting and they kept it up this afternoon. Chants of "Shame on You!" and a cacophony of vuvuzelas rang out from the crowd which organisers put at more than 100,000 people, hours after Chancellor Angela Merkel had appealed for calm. The project, dubbed Stuttgart 21, is not as environmentally friendly as it might sound. According to campaigners opposing Stuttgart 21, it will require the destruction of old – and beloved – forestland and disturb the city’s underground water springs. They also believe the new expensive tunnel system won’t even discourage road traffic. During clahses with police yesterday hundreds were injured including a number of school children. Der Spiegel wrote, " In the past, many would have been happy to see long-haired students get their knuckles rapped during environmental protests, believing it served them right. But in Stuttgart on Thursday, it was middle-class schoolchildren, grandparents and lecturers who were getting beaten up and dragged away by the forces of the state." Middle class citizens don't like it so much when those attacked look just like them.

訳)今日(2010年10月11日)は、鉄道トンネルの建設の為に、警察のバリケードに囲まれたシュトゥットガルト歴史的な宮廷公園内の木々が切り倒された日として記憶されることだろう。数千人もの人々が反対運動を行い、それは今日の午後まで続いたのだ。メルケル首相が事態の沈静化を呼びかけた数時間後、主催者の発表によれば、約10万もの群衆から「恥を知れ!」というシュプレヒコールと、ブブゼラの出す不協和音が警察に向かって鳴り響いたのだ。「Stuttgart 21」と呼ばれるこのプロジェクトは、その聞こえ程には環境に配慮されたものではない。Stuttgart 21に反対するキャンペーンの主催者によれば、この計画は、公園内に古くからある、そして市民から愛され続けてきた森林地と、街の地下の水源を破壊を含んでいる。また、彼らは新しい高額のトンネルシステムが、道路の混雑抑制にはならないと考えている。先日の警察との衝突では、多数の中学、高校生を含む数百人が負傷した。Der Spiegel紙はこう書いている。「以前は、大多数の人々は環境保護運動の中で、長髪の学生達がこっぴどくやられるのを見て気分をよくしていたし、それが当然の報いだと思ってきた。けれども、木曜日のシュットガルトでは、国家の暴力によって、棍棒で打ちのめされ、引きずり出されていたのは、中産階級の学校子供たちであり、その祖父母たち、大学の講師たちであったのだ。」
Infoshop News (2010/10/11) http://news.infoshop.org/article.php?story=20101001222040588
SPIEGEL ONLINE http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,720735,00.html

9月30日のドイツの州警察による強制排除の様子は、近年のヨーロッパでの公共の場での警察の暴力のもっとも劣悪な場面の一つだと思う。警察の放水車からの高圧放水で吹き飛ばされる女性や、その直撃で目に重傷を負った男性、警察に乱暴にスクラムを引きはがされる子供たちの様子を見ると、法治国家という名前の下でどのような組織的暴力が平然と人々に向けて行われているのか、そして、都市計画というものがどのように権力と共犯関係にあるのかをはっきりと見る事ができる。都市計画の名の下で展開される、美しいパブリックスペースのイメージ(それは建築やランドスケープを通じて実現される)は、それが実現を目指す空間を私的に占有する過程における、必然的な暴力(それまでそこに存在していた社会空間の破壊とその空間で生きてきた人々の排除)についていっさい言及することなく、その計画の美的、経済的効用を歌うが、そこにこそ建築や都市計画の根本的な問題、つまり産業ユートピアの実現の為に動員される空間の技術が、「立ち退き」や「強制退去」といった排除の問題と不可分であるという事実に私たちは気づくべきだ。本当に実現されなければならないのは「空間のデザイン」ではなく、「空間そのものを民主化すること」だと思う。
新Stuttgart 駅の完成イメージ
新駅開発予定地の公園の現在


glanzleistungen der polizei bei der schülerdemo gegen s21 am 30.09.2010 

http://www.youtube.com/watch?v=W1UYd5LDQXA&feature=player_embedded

2010/10/07

釜山オルタナティヴスペース座談会@福岡アジア美術館

先週の土曜日に、福岡アジア美術館で行われた釜山-福岡現代アート座談会「釜山の現代アートシーンと福岡-釜山の海を越えた美術交流」では、釜山で活動するオルタナティヴなアートスペースを運営する人たちが今、釜山の非商業ベースで行われている美術/文化活動について報告をしてくれて、普段なかなか知る機会のない、福岡から一番近い海外都市の文化活動の様子を紹介してもらった。報告してくれた3つのスペースの内2つは現代美術の文脈から派生してきたオルタナティブスペースで、90年代から現代アートの文脈を中心に様々な非商業ベースの作品の発表の場所となってきた、銭湯を改装したアートスペース「대안공간 반디로 (Alternative space bandee)」、釜山郊外の広大な梨畑の一角でアーティストインレジデンスプログラムを中心に作家に自由な制作と発表の場を提供している픈스페이스 배(Open Space Be)」という二つのスペースの紹介だった。どちらとも、商業ギャラリーとは距離を置きつつ、作品自体の展示と同時に、ワークショップ、アーカイブ雑誌の発行、教育プログラムの充実等も行っており、釜山のアートを通じた文化活動をオーガナイズする側の意識の高さを感じた。
ただ個人的に一番興味を引かれ、面白いと思ったのは、最後に発表してくれた「INDE CULTURE SPACE AGIT」という一番新しくできたスペースの活動だった。
座談会の告知文からこのAGITの活動の紹介文を引用すると、


「インディー カルチャースペース アジト(独立文化空間アジト)」は積極的にネットワークを作り、それを基盤に活動するインディカルチャー企画集団「オルタナティヴ カルチャー運動 チェミナン ボクス (おもしろい復讐)」が運営するスペースです。2003年8月からプロジェクト型のイベントを中心に、これまで一年に平均30回以上の活動を継続してきましたが
常時活動できるような拠点が必要になったことから、このスペースを2008年に立ち上げました。立ち上げ準備段階の2002年から現在に至まで、設立メンバーを中心として、様々な企画スタッが対等な立場で結束し、次のような活動をしています。展示企画、公演企画、インディカルチャー系の資料収集及び研究活動、人材育成、コンサルティング、レジデンス、ミュージシャンの音楽アルバム制作の支援や創作、練習スタジオの提供、プロジェクト制作協力、情報共有、イベント企画、ジャンル間の恊働支援、国内外のネットワーク構築、ワークショップ及びセミナー主催、政策提言、社会団体の文化支援活動、ドキュメンタリー制作などを行っています。」


と、もはや文化に関わる活動のほとんどを網羅しているような紹介文で、その活動がアートの文脈における自律空間という意味合いを遥かに越えて、「自分たちの文化空間そのものを自律的に作り出すこと」を主眼に置いた活動を展開していることは、東京高円寺の「素人の乱」や京都の「hanare」の活動や、その他の国内、海外の様々な自律空間を作り出す活動と繋がっているような、2000年代オルタナティブな文化活動の世界的同時代性を感じずにはいられなかった。


        *2009年にAGITで行われた、グラフィティの展覧会 「i am from Busan

座談会の中では、主に彼らのグラフィティを巡る彼らの活動を紹介しており、韓国におけるグラフィティの美術的、社会的地位の認知を呼びかけるための活動を中心に話が進んで行ったが、特に興味深かかったのは、彼らの「グラフィティと地域の結びつき」という問題意識であり、その一例として、2000年初頭から、釜山市内を流れる「温泉川」と呼ばれる川を囲うコンクリートの壁面にグラフィティを描き続けているプロジェクトだった。この川は、元々は街中でよく見られるような一種のどぶ川で、あまり人気の無い場所だったけれども、そこにグラフィティのライター達が集まり、そこにタギングして行いくうちに、音楽やスケートといった周縁に連なるストリートシーンも集まりだして、その場所が釜山のストリートカルチャーを実践する若者達の集う文化空間になっていったという話だった。この場所は今、行政の再開発の対象地域に指定されていて、これから市の再開発計画に対して、文字通りストリートから生まれた文化空間をどのようにして守っていくかが今後の課題だと発表してくれたオーガナイザーの一人、ク•ホンジュさんは話してくれた。
                             「温泉側の川辺」(Bank Art Blog 「釜山通信使」より引用)
芸術作品というオブジェクトに限定された表現を越えて、文化を生み出す土壌そのものを切り開いたり、開拓していこうとするAGITの活動が、経済的問題を抱えながらも、「文化を作り出す」という活動自体が自分達の生きる社会における政治的、社会的な問題意識を自覚することから始まるのだという、日本の美術界ではあまり意識されにくい視点から自分たちの活動を捉えていることがとても新鮮だった。もちろん、日本と韓国における社会運動にたいする人々の意識の違いという理由もあるかもしれないが、同時に過酷な学歴社会、競争社会でもある韓国の社会構造に対して地方から「たのしい報復」を試みるAGITの活動と日本の文化的/政治的活動を実践している人たちの共通項は案外多いのでは、とも思った。
座談会後の打ち上げで出会ったオーガナイザーのリュウさんは、とても気前のよい、酒と旅を愛する愉快な人で、いつでもAGITに来て、泊まって、酒をのんで、一緒に面白い事をする仲間を国内外から募集中だという。なので、もしAGITに行ってみたい、そこで何かをしたいという人がいればコンタクトを取ってみるといいと思う。自分も今年の冬の時期にAGITへ行こうと思っているので、一緒に行こうという人ぜひ!


*INDE CULTURE SPACE AGIT : http://www.agit7436.com/
AGITの写真はこちらから
*semantics aside http://www.flickr.com/photos/97652238@N00/4722981991/
BankARTのブログにもより詳しい釜山のアートスペース情報が載っています。
*BankART1929 BLOG:「釜山通信使