2011/01/06

Urban Potlatch no6 ワークショップ報告(2010/12/18)

年をまたいでしまったのですが、昨年12月18日(土曜)に、福岡のart space tetraにて行ったurban potlatchの第六回のワークショップの報告です。

今回は去年の夏に福岡天神にオープンした九州初のInfoshop 、「反転地」のオーナーをしている佐野陽子さんを講師に、「これからの生活夜話」というタイトルで、食と環境問題、そして生活の中の余りものからお茶を作るワークショップを開きました。

そもそもは、反転地に遊びに行った時に、佐野さんが野草料理を学んでいるという話を聞いたところから、野草料理について話を聞ける機会があればいいな、と思ったのが始まりでした。ただ、野草についてはまだ学んでいる途中であること、また冬であまり野草が見つからないこともあり、佐野さんのもう一つのテーマである、食生活と環境問題について話してもらい、また余った野菜や果物の皮でお茶を作る方法、残ったご飯から甘酒を作る方法を実演してもらうことにしました。

当日は約15名程の方が参加してくれて、夜8時から始まりました。
           ■内側からのようす
ちょうどその週には、テトラの運営をしている 小山冴子さんの企画「小山が居ります」が開催されていて、テトラの壁には小山さんのセレクションした作家のペインティング、ドローイング、彫刻、そして詩人でデザイナーの








 
■それぞれのお茶っ葉を選んでティーバックにつめる
           ■作ったお茶と一緒に





 





2010/12/10

Urban Potlatch workshop 06「これからの生活夜話(お茶作りワークショップ)」

2010/11/02

Kama Wosi: Music in the Trobriand Islands - PREVIEW(via Youtube)

Kama Wosi: Music in the Trobriand Islands - PREVIEW(via Youtube)
Purchase: http://www.der.org/films/kama-wosi.html Traditional music of the Trobriand Islands (Kiriwina Islands) is played on a variety of flutes, from simple curving stems to panpipes. Songs (wosi) are also an important part of Trobriand music, and although everyone may compose and sing, people with special talents are encouraged to develop their skills. A range of songs are filmed and translated here: gardening and sailing songs, kula trading songs, songs of love and enticement, of grief and mourning. The film also reveals glimpses of everyday and ritual life: villages, gardens (and their magic), exchange, harvest dances, children in the rain.
a film by Les McLaren
distributed by Documentary Educational Resources

『Kama Wosi:トロンブリアンド諸島の音楽』
トロンブリアンド諸島「キリワナ島」の伝統的な音楽は、単なる曲がった茎からパーン(Pam)の笛といった多様なフルートによって奏でられます。歌(Wosi)は、トロンブリアンドの音楽の中でも重要な部分を占めており、皆が作曲や歌を歌うことがあるにしても、秀でた才能を持った者たちは彼らの才能と技術を伸ばすよう努力するのです。さまざまな歌がこの映像に記録され翻訳されています。
庭づくりの歌や航海の歌、クラ交易の歌、愛の歌、誘惑の歌、貿易、収穫のダンス、雨の中の子供たちの歌。映像:Les McLaren

日々の生活の隅々まで歌や音楽に満たされている世界の映像を目にする時、自分の生きる世界の音の貧しさを実感せずにいられない。街では、コマーシャル用のアナウンスや音楽が無理矢理に人々の耳に入り込もうとしているし、もし、自分が別の音を望もうとすれば、小さな機会に音楽を入れて独りで楽しむしかないのだと思い込む。歌が無い労働、商品の為の声、自分たちは自分たちの声まで奪われてはいけないし、日々の単調な仕事の中に再びリズムと歌を創造していくことは、政治的実践の領域だと思う。

日本でも、昔から労働にリズムと歌はいつも寄り添っていたということを思い起こさせてくれる映像。

「伝統の松屋の飴切り」

2010/10/12

The protest campaign against the Stuttgart21 in Germany

9月30日に、ドイツ南西部の都市Stuttgart(シュトゥットガルト)で、市の中央駅再開発計画に伴う隣接する公園の樹木の伐採に反対し、座り込みをしていた市民に対して、州政府が警察を動員し暴力的な排除を命じた。この事件で、約130人の市民が負傷し、多数が逮捕された。
Infoshop News http://news.infoshop.org/より抜粋
Today marked the time when some of the first trees came down behind police baracades in Stuttgartt's historic palace garden to make way for a rail tunnel. Thousands have been protesting and they kept it up this afternoon. Chants of "Shame on You!" and a cacophony of vuvuzelas rang out from the crowd which organisers put at more than 100,000 people, hours after Chancellor Angela Merkel had appealed for calm. The project, dubbed Stuttgart 21, is not as environmentally friendly as it might sound. According to campaigners opposing Stuttgart 21, it will require the destruction of old – and beloved – forestland and disturb the city’s underground water springs. They also believe the new expensive tunnel system won’t even discourage road traffic. During clahses with police yesterday hundreds were injured including a number of school children. Der Spiegel wrote, " In the past, many would have been happy to see long-haired students get their knuckles rapped during environmental protests, believing it served them right. But in Stuttgart on Thursday, it was middle-class schoolchildren, grandparents and lecturers who were getting beaten up and dragged away by the forces of the state." Middle class citizens don't like it so much when those attacked look just like them.

訳)今日(2010年10月11日)は、鉄道トンネルの建設の為に、警察のバリケードに囲まれたシュトゥットガルト歴史的な宮廷公園内の木々が切り倒された日として記憶されることだろう。数千人もの人々が反対運動を行い、それは今日の午後まで続いたのだ。メルケル首相が事態の沈静化を呼びかけた数時間後、主催者の発表によれば、約10万もの群衆から「恥を知れ!」というシュプレヒコールと、ブブゼラの出す不協和音が警察に向かって鳴り響いたのだ。「Stuttgart 21」と呼ばれるこのプロジェクトは、その聞こえ程には環境に配慮されたものではない。Stuttgart 21に反対するキャンペーンの主催者によれば、この計画は、公園内に古くからある、そして市民から愛され続けてきた森林地と、街の地下の水源を破壊を含んでいる。また、彼らは新しい高額のトンネルシステムが、道路の混雑抑制にはならないと考えている。先日の警察との衝突では、多数の中学、高校生を含む数百人が負傷した。Der Spiegel紙はこう書いている。「以前は、大多数の人々は環境保護運動の中で、長髪の学生達がこっぴどくやられるのを見て気分をよくしていたし、それが当然の報いだと思ってきた。けれども、木曜日のシュットガルトでは、国家の暴力によって、棍棒で打ちのめされ、引きずり出されていたのは、中産階級の学校子供たちであり、その祖父母たち、大学の講師たちであったのだ。」
*Infoshop News (2010/10/11) http://news.infoshop.org/article.php?story=20101001222040588
*SPIEGEL ONLINE http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,720735,00.html

9月30日のドイツの州警察による強制排除の様子は、近年のヨーロッパでの公共の場での警察の暴力のもっとも劣悪な場面の一つだと思う。警察の放水車からの高圧放水で吹き飛ばされる女性や、その直撃で目に重傷を負った男性、警察に乱暴にスクラムを引きはがされる子供たちの様子を見ると、法治国家という名前の下でどのような組織的暴力が平然と人々に向けて行われているのか、そして、都市計画というものがどのように権力と共犯関係にあるのかをはっきりと見る事ができる。都市計画の名の下で展開される、美しいパブリックスペースのイメージ(それは建築やランドスケープを通じて実現される)は、それが実現を目指す空間を私的に占有する過程における、必然的な暴力(それまでそこに存在していた社会空間の破壊とその空間で生きてきた人々の排除)についていっさい言及することなく、その計画の美的、経済的効用を歌うが、そこにこそ建築や都市計画の根本的な問題、つまり産業ユートピアの実現の為に動員される空間の技術が、「立ち退き」や「強制退去」といった排除の問題と不可分であるという事実に私たちは気づくべきだ。本当に実現されなければならないのは「空間のデザイン」ではなく、「空間そのものを民主化すること」だと思う。
新Stuttgart 駅の完成イメージ
新駅開発予定地の公園の現在


glanzleistungen der polizei bei der schülerdemo gegen s21 am 30.09.2010 

http://www.youtube.com/watch?v=W1UYd5LDQXA&feature=player_embedded

2010/10/07

釜山オルタナティヴスペース座談会@福岡アジア美術館

先週の土曜日に、福岡アジア美術館で行われた釜山-福岡現代アート座談会「釜山の現代アートシーンと福岡-釜山の海を越えた美術交流」では、釜山で活動するオルタナティヴなアートスペースを運営する人たちが今、釜山の非商業ベースで行われている美術/文化活動について報告をしてくれて、普段なかなか知る機会のない、福岡から一番近い海外都市の文化活動の様子を紹介してもらった。報告してくれた3つのスペースの内2つは現代美術の文脈から派生してきたオルタナティブスペースで、90年代から現代アートの文脈を中心に様々な非商業ベースの作品の発表の場所となってきた、銭湯を改装したアートスペース「대안공간 반디로 (Alternative space bandee)」、釜山郊外の広大な梨畑の一角でアーティストインレジデンスプログラムを中心に作家に自由な制作と発表の場を提供している「오픈스페이스 배(Open Space Be)」という二つのスペースの紹介だった。どちらとも、商業ギャラリーとは距離を置きつつ、作品自体の展示と同時に、ワークショップ、アーカイブ雑誌の発行、教育プログラムの充実等も行っており、釜山のアートを通じた文化活動をオーガナイズする側の意識の高さを感じた。
ただ個人的に一番興味を引かれ、面白いと思ったのは、最後に発表してくれた「INDE CULTURE SPACE AGIT」という一番新しくできたスペースの活動だった。
座談会の告知文からこのAGITの活動の紹介文を引用すると、


「インディー カルチャースペース アジト(独立文化空間アジト)」は積極的にネットワークを作り、それを基盤に活動するインディカルチャー企画集団「オルタナティヴ カルチャー運動 チェミナン ボクス (おもしろい復讐)」が運営するスペースです。2003年8月からプロジェクト型のイベントを中心に、これまで一年に平均30回以上の活動を継続してきましたが
常時活動できるような拠点が必要になったことから、このスペースを2008年に立ち上げました。立ち上げ準備段階の2002年から現在に至まで、設立メンバーを中心として、様々な企画スタッが対等な立場で結束し、次のような活動をしています。展示企画、公演企画、インディカルチャー系の資料収集及び研究活動、人材育成、コンサルティング、レジデンス、ミュージシャンの音楽アルバム制作の支援や創作、練習スタジオの提供、プロジェクト制作協力、情報共有、イベント企画、ジャンル間の恊働支援、国内外のネットワーク構築、ワークショップ及びセミナー主催、政策提言、社会団体の文化支援活動、ドキュメンタリー制作などを行っています。」


と、もはや文化に関わる活動のほとんどを網羅しているような紹介文で、その活動がアートの文脈における自律空間という意味合いを遥かに越えて、「自分たちの文化空間そのものを自律的に作り出すこと」を主眼に置いた活動を展開していることは、東京高円寺の「素人の乱」や京都の「hanare」の活動や、その他の国内、海外の様々な自律空間を作り出す活動と繋がっているような、2000年代オルタナティブな文化活動の世界的同時代性を感じずにはいられなかった。


        *2009年にAGITで行われた、グラフィティの展覧会 「i am from Busan」

座談会の中では、主に彼らのグラフィティを巡る彼らの活動を紹介しており、韓国におけるグラフィティの美術的、社会的地位の認知を呼びかけるための活動を中心に話が進んで行ったが、特に興味深かかったのは、彼らの「グラフィティと地域の結びつき」という問題意識であり、その一例として、2000年初頭から、釜山市内を流れる「温泉川」と呼ばれる川を囲うコンクリートの壁面にグラフィティを描き続けているプロジェクトだった。この川は、元々は街中でよく見られるような一種のどぶ川で、あまり人気の無い場所だったけれども、そこにグラフィティのライター達が集まり、そこにタギングして行いくうちに、音楽やスケートといった周縁に連なるストリートシーンも集まりだして、その場所が釜山のストリートカルチャーを実践する若者達の集う文化空間になっていったという話だった。この場所は今、行政の再開発の対象地域に指定されていて、これから市の再開発計画に対して、文字通りストリートから生まれた文化空間をどのようにして守っていくかが今後の課題だと発表してくれたオーガナイザーの一人、ク•ホンジュさんは話してくれた。
                             「温泉側の川辺」(Bank Art Blog 「釜山通信使」より引用)
芸術作品というオブジェクトに限定された表現を越えて、文化を生み出す土壌そのものを切り開いたり、開拓していこうとするAGITの活動が、経済的問題を抱えながらも、「文化を作り出す」という活動自体が自分達の生きる社会における政治的、社会的な問題意識を自覚することから始まるのだという、日本の美術界ではあまり意識されにくい視点から自分たちの活動を捉えていることがとても新鮮だった。もちろん、日本と韓国における社会運動にたいする人々の意識の違いという理由もあるかもしれないが、同時に過酷な学歴社会、競争社会でもある韓国の社会構造に対して地方から「たのしい報復」を試みるAGITの活動と日本の文化的/政治的活動を実践している人たちの共通項は案外多いのでは、とも思った。
座談会後の打ち上げで出会ったオーガナイザーのリュウさんは、とても気前のよい、酒と旅を愛する愉快な人で、いつでもAGITに来て、泊まって、酒をのんで、一緒に面白い事をする仲間を国内外から募集中だという。なので、もしAGITに行ってみたい、そこで何かをしたいという人がいればコンタクトを取ってみるといいと思う。自分も今年の冬の時期にAGITへ行こうと思っているので、一緒に行こうという人ぜひ!


*INDE CULTURE SPACE AGIT : http://www.agit7436.com/
AGITの写真はこちらから
*semantics aside http://www.flickr.com/photos/97652238@N00/4722981991/
BankARTのブログにもより詳しい釜山のアートスペース情報が載っています。
*BankART1929 BLOG:「釜山通信使」





2010/09/24

9/17ワークショップ報告(前半)

9月17日に行った、五回目のurbanpotlatch workshopのご報告(前半)。

今回は、ドキュメンタリー監督の早川由美子監督を迎えて、イギリスの「オルタナティヴ•ビレッジ運動」や、早川監督の作品「ブライアンとその仲間達 パーラメント・スクエアSW1」を撮った背景とイギリスの社会運動に関わった経験を話てもらいました。早川さんとは、2008年の夏に日本で開催された「G8洞爺湖サミット」への反対運動を呼びかける国際キャンペーンツアーのロンドン開催時に初めてお会いし、その年の反G8行動の時も現地にて再開した繋がりで、今回お呼びすることになりました。
早川監督のホームページ : http://www.brianandco.co.uk/jp_index.htm

「ブライアンとその仲間達 パーラメント・スクエアSW1」


当日は、tetraの二階を借りて夜7時半から夜10半までと長丁場なトークでしたが、参加してくれた方々の協力と早川さんの丁寧な話し方のおかげで、後半からはいろいろな意見を出てくきました。早川さんは初めジャーナリスト志望で、最初に取り組んだ記事が東京の公園のベンチ撤去と排除的デザインについての記事だったそうですが、その時受けたネットバッシングの経験を通じて、文章では表現できないものを捉えることの重要性に気づき、ロンドン留学時にカメラ購入し、偶然、ロンドン国会議事堂前のパラメントスクエアでテントを張って反戦運動をするブライアンと出会ったそうです。


はじめは、気軽な気持ちでカメラを持って行ったそうですが、徐々に国会議事堂前での反戦運動が警察や右翼との緊張関係の中にあることを実感し、中途半端に関わる事はできないと覚悟を決めて一年間ブライアンと彼をサポートする人たちの輪の中に飛び込んだ経緯を話してもらいました。

イギリスでは、社会運動自体は市民の権利の行使の一つとして当然のように考えられているので、ブライアンの反戦運動自体が特異なものではなく、1980年代には当時イギリスに存在した米軍の核基地に対して、基地の付近に住む女性たちが基地を囲んで封鎖するという「非暴力的直接行動」の例を話してもらいました。この運動は、19年間継続させた結果、米軍基地の国外への退去に成功し、「グリーナムの女たち」の運動(wiki: Greenham Common Women's Peace Camp)と呼ばれる大きな平和運動の一時代を築き上げたそうです。議会制民主主義を越えて、 政治的、社会的な問題を市民が直接的な行動によって自分たちの手で社会変革を実現させていくという、イギリスの直接民主主義の流れの中で、ブライアン達の反戦運動も現われてきたのです。

次に、ファシリテーターである自分がロンドン滞在中に出会った、Kew Eco Villageの人々の運動を、自身の写真や、子供向けの情報番組What is your worldview がEco Villageを取材した際のビデオを使って紹介しました。 ワークショップの時は、手短かな説明となってしまい、彼らの意図、目的を十分に伝えることが上手くできなかったので、このブログで補足的な説明を付け加えたいと思います。

The Land is Yours : Kew Bridge Eco Village  

Kew Eco Villageは、2009年の6月に約30人のアクティヴィスト達が、ロンドン郊外で不動産会社が所有し、空き地として放置されてきた工場跡地に侵入して、テントを張り住み込みながら、植物を植え、コミュニティガーデンを作り、その場所を近隣に住む人たちのコミュニティの場所へと再創造しようとした運動です。この空き地は、約20年もの間、不動産会社によって意図的に放置されてきました。アクティヴィスト達は、土地を囲むフェンスを乗り越えて、できるだけ長期に渡ってその場所にとどまる事で、庭を造り、野菜を育てつつ、都市における自律的でエコロジカルな生活を実現する社会実験の場を作り出そうと試みました。

同時に、この場所は近隣の人々がそこに集まり、その場所で実現したいと願うこと(夕方の社交の場、自然を楽しむ場、子供たちの遊び場、共同で食事ができる場、芸術的活動の為の場、等々)が実現できるような、開かれた場所へと変化していきました。Eco Villageは、資本主義的な空間が排除してきた、お金を媒介とぜすに社会的関係を自由に取り結ぶ場、そして都市の中で自然と再び接する場を生み出そうとする運動だったのです。

 Kew Bridge Eco Village - Virtual reality tour

  
彼らの土地占拠運動もまた、ブライアンの反戦運動と同じく、現代に突然現れたものではありません。それは、17世紀にイギリスの領主たちによる私有地拡大を目的とした、共有地の囲い込み(エンクロージャー)に反対した当時の人々の運動の伝統を脈々と受け継いでいると言えます。
  
The Diggers と呼ばれた人々は、1649年に当時地方領主によって狩り場として私有化されていたSt. George's Hillに入り込み、食用植物の種を植えて、人々に食料や衣服を分配し、自律的な社会空間を築き上げる試みを行いました。一週間の内に、その規模は千人を越え、かれらは、そこで有名なマニフェスト「The True Levellers Standard Advanced」を生み出しました。

 The Diggersが350年前に行った運動の理念、つまり「大地との繋がりを万人の手に取り戻し、真の自由を獲得すること」は、「Land is Ours」という名の、Land Rights(土地への権利)を巡るキャンペーンの系譜となって再び現代に甦ってきます。1996年に約300人の人々が、1648年にDiggersの人々が占領し、植物の種を植えた丘を再び占拠しました。また同年、Land is Oursの賛同者達はビール会社のギネス社が所有していたWandsworthの土地を占拠し、Eco Villageを建設し、数ヶ月の間占拠したのです。

The Land Is Ours, Pure Genius, Wandsworth Eco-Village (1996)


世界史上まれに見る規模で、村単位での土地の共有から少数の領主による土地の私的所有への変遷を経験したイギリス社会が、同時に、持つ者と持たざる者という社会的不平等を社会的階級にまで固定化させた歴史を考えると、イギリスの社会運動の根底には常に「土地の私的所有」という概念が持つ排他的独占という性格と、その現実的な不平等という問題を乗り越えようとする闘いであるように思います。

それと同時に、この土地の私的所有という概念が、歴史的な出来事に由来し、人間の関係の不平等の由来でありつづけたという歴史的事実に十分に意識的であるが故に、人々は「土地の再-共有」、つまり、元々自分の生活に最低限必要なスペースを除いた分の広大な土地を、一握りの人間の所有物から、共に生きる人々が等しくアクセスでき、その使用が可能な限り開かれた場所へと回復させる試みを歴史的に継続させてきたのです。

2009年の6月から2010年の裁判所命令による退去まで続いた、Kew Eco Villageもまた、一時的な政治運動を越えて、より長期的な視野で、これまでの生活とは異なる価値観に基づいた生き方、暮らし方を実践しつつ、土地をコモンなものへと回復させ、近隣コミュニティの人々の散策、社交、教育、遊びといった様々な社会的経験の機会を提供する場所だったのです。(次回へ続く)


*ワークショップの報告会については、早川監督自身のブログでも紹介されています。 
 Brian and Co. Screening Report
    (http://brianandco.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/2010917-8541.html)

2010/09/01

Urban Potlatch no5 「Creating our village:The alternative village movement in UK」

Photo by Tara Bradford
 
今回のurban potlatchでは、ドキュメンタリー監督の早川由美子監督をゲストに、イギリスにおける新たな社会運動の一つである、「オルタナティヴ•ビレッジ」についてのレクチャー•トークを行います。

2000年代以降、ヨーロッパや北米では、社会運動の世界的な高まりと同時に、政治的な運動の中で水平的、直接民主主義的な原理に基づいた生活空間を野外に一時的に作り上げる「オルタナティヴ•ビレッジ」を作り出す試みが各地で展開されていきました。

2009年には、ロンドン郊外の不動産会社の管理下にあった空き地に住み込み、庭を造り、コミュニティースペースとして開放した「エコ•ビレッジ」の運動が行われ、2010年5月から7月にかけては、イギリス国会議事堂前の広場に、反戦運動や様々な社会問題に取り組む人々が集い、キャンプを張り、議会制民主主義とは別の民主主義、すなわち「直接民主主義」に基づいた社会を作り出すデモクラシー•ビレッジ」の試みが行われました。

イギリスにおける一連のビレッジを巡る運動は、土地というものを「私有財産」から「共通なもの(コモン)」へと変える試みであると同時に、資本主義的な経済原理主義のシステムから一時的に自律した空間を作り出し、あたらしい生活、仕事、恊働の可能性を発明し、実践する社会的実験の場所でもありました。

早川監督が制作したドキュメンタリー「ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1」は、ロンドンの国会議事堂前でテントを張りながら反戦運動を8年間続けてきたブライアン•ホー氏とその仲間達の活動を記録した反戦運動の記録であると同時に、公共の場所での言論、集会、表現の自由を巡る戦いの記録でもありました。今回のurban potlatchでは早川監督共に、イギリスの社会運動の流れや、新しい社会空間を作り出す試みについて、写真や映像を用いながら話していきたいと思っています。

早川由美子監督のプロフィール
東京都出身。成蹊大学法学部、London School of Journalism卒業。会社員を経て2007年に渡英。ロンドンでジャーナリズムを学ぶ傍ら、反戦活動家Brian Haw氏らと出会、彼らを記録することを決意。ロンドン各地のあらゆるデモ活動に参加、撮影した経験を持つ。「ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1」は、初監督作品。

ファシリテーター
江上賢一郎

場所 :  art space tetra
日時:2010年9月17日(金)
時間:19:30 start
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